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親が認知症になってしまった!持っている不動産はどうしたらいい?

親が認知症になってしまった!持っている不動産はどうしたらいい?

売却時の注意点と利用できる制度を徹底解説!!

不動産相続は、財産相続の中でも特に複雑で、法的な手続きや税金など多くの要素が関与します。特に高齢化社会において、親が所有する不動産を売却し、生活費や医療費に充てるケースが増えています。ここでは、不動産相続に関する基本的な知識と、実際に直面しうる問題について、具体的な例を交えて説明します。

Aさんのケース

Aさん(長男)は、入院中の父親の代わりに父親所有の土地を売却することになりました。しかし、入院中の父親は認知症であり、判断能力がない可能性があります。

Aさんは父親に代わって土地の売買を行うことが出来るのでしょうか。


高齢者の不動産売却における注意点とは?

高齢者が所有する不動産の売却において、特に注意すべき点は、売主の判断能力の確認です。高齢者の中には認知症を患っている方もおり、その場合、判断能力が低下している可能性があります。例えば、本人が売却を希望しているように見えても、実際にはその意思が正しく反映されていない場合、契約が無効となるリスクがあります。

Aさんのケースでは、売却取引の進行を一時的に止め、売主本人の意思を確認する必要があります。


売買契約における無効や取消しのリスク

不動産売買契約が無効や取消しとなるリスクも無視できません。意思能力がない状態での契約は、後日無効とされる可能性があります。

A氏のケースでは、父親が認知症であった可能性があるため、このまま契約を進めてしまうと、後にトラブルになる可能性が高いです。そのため、早期に事実を確認し、必要な手続きを取ることが重要です。


成年後見制度の利用が必要!後見人制度って何?

成年後見制度は、判断能力が低下した高齢者や障害者を保護するために設けられた制度です。この制度の下では、成年後見人が選任され、被後見人(判断能力が低下した本人)の財産管理や生活に関わる重要な判断を行います。不動産の売却など、被後見人の重要な財産処分を行う場合には、成年後見人の同意と家庭裁判所の許可が必要です。

A氏の父親が認知症であると確認された場合、成年後見制度を利用しなければ、不動産の売却は進められません。


成年後見人の選任プロセス

成年後見人を選任するためには、家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。この手続きには2〜4ヶ月程度かかるのが一般的です。

A氏のケースでも、まずは家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てる必要があり、この手続きが完了するまでの間、不動産の売却手続きは保留にする必要があります。後見人が選任された後は、その後見人が被後見人の利益を考慮して、土地を売却するかどうかを判断します。


成年後見制度を利用する際の注意点

成年後見制度を利用する際には、いくつかの注意点があります。例えば、後見人が選任された場合、被後見人の財産管理の権限は後見人に帰属します。

A氏のケースで、父親の土地を売却して二世帯住宅を建てることを目的としていた場合、その目的が後見人によって適切と判断されるかどうか、そして家庭裁判所の許可が下りるかは慎重に判断されるべき点です。後見人はあくまで被後見人の利益を最優先に考えるため、長男や家族の利益ではなく、被後見人自身の生活や福祉に資するかが重要な判断基準となります。


後見手続きが必要な場合の対応策

後見手続きが必要と判断された場合、まずは家庭裁判所に成年後見の申し立てを行います。その後、後見人が選任され、後見人の判断に基づいて財産処分を行うことが可能になります。このプロセスは2〜4ヶ月かかりますが、早めに準備を開始することでスムーズに進行させることができます。

A氏のケースでは、父親が認知症であり、後見手続きが必要と判断されたため、早急に手続きを進めることが求められます。


家庭裁判所の許可と資産処分のプロセス

成年後見人が選任されると、後見人が不動産の売却に関する権限を持ちます。しかし、後見人が不動産を売却する際には、家庭裁判所の許可が必要です。これは、被後見人の利益を守るための重要なプロセスであり、家庭裁判所は売却が適切かどうかを慎重に判断します。

A氏のケースでも、父親の土地を売却する際には、家庭裁判所の許可を得た上で進める必要があります。


判断能力があるうちに家族信託を!

家族信託とは?

家族信託とは、老後や認知症に備えて、信頼できる家族に財産の管理・運用を任せる制度です。この制度を利用すれば、親が認知症を発症した場合でも、財産が凍結されることなく管理を続けることができます。家族信託は、法定後見制度の代替手段として注目されており、高齢化が進む中でその利用者は増加しています。


家族信託のメリット

  1. ランニングコストがかからない
    家族信託は、信託契約を家族間で行うため、専門家に報酬を支払う必要がない点がメリットです。法定後見制度のように後見人に対する報酬が発生しないため、長期的なコストを抑えることができます。
  2. 財産管理の柔軟性
    信託契約に基づき、財産の管理や運用を柔軟に行うことが可能です。例えば、不動産を売却するだけでなく、賃貸経営や他の資産運用も契約内容に応じて行うことができます。この柔軟性は、財産を多角的に活用したい場合に大きな利点となります。
  3. 家庭裁判所の手続きが不要
    法定後見制度とは異なり、家族信託は家庭裁判所に申し立てを行う必要がありません。親が亡くなる前に不動産売却ができる点も、素早く柔軟な資産運用を望む場合に大きなメリットとなります。

家族信託の注意点

  1. 信託契約時の費用が発生する
    不動産を信託財産に含める際には、名義変更に伴う登録免許税や、信託口座を開設するための公正証書の作成費用が発生します。これらの手続きを司法書士や弁護士に依頼する場合、専門家への報酬も考慮する必要があります。
  2. 受託者の選定時に親族間で争う可能性がある
    受託者とは、信託契約に基づいて財産を管理する役割を担う人物です。この選定を巡って親族間で意見の対立が生じ、トラブルになることもあります。受託者を選ぶ際には、冷静で建設的な話し合いを行うことが大切です。

まとめ:高齢者の不動産売却と相続時の重要なポイント

また、認知症になってしまう前に、信託契約を事前に親族間で信託契約を結んでおくと、万が一親が認知症を発症した場合でも、財産が凍結されることなく管理を続けることができます。

A氏のケースでは、父親の認知症が発覚した段階で迅速に対応を行い、成年後見手続きや家庭裁判所の許可を得るなどのプロセスを経て、安全かつ合法的に不動産取引を進めることが最良の解決策となります。不動産取引は財産や生活に直接影響を与える重要な行為であるため、法的手続きや制度を正確に理解し、適切に対応することが大切です。

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